夏結露にご用心!建物を内部から侵食する落とし穴かも!?
2025/06/23
夏結露という言葉を聞いたことはありますか?
読んで字のごとく、夏に発生する結露の事です。
今回は夏結露がもたらす建物への被害と、その対策についてご紹介いたします!

Contents
夏結露とは?
冬の結露は「暖かい室内の湿気が冷えた窓などに触れて水滴になる現象」ですが、夏結露はこれと逆の現象で、次のような場所で起こります。
冷房の効いた室内にある冷たい壁・床・家具など
これは、冷房によって室内の空気や建材の表面温度が下がることで、外から流れ込んだ高温多湿な空気中の水蒸気が冷たい面に触れて結露する現象です。
特に壁の中や床下、家具の裏側など、空気がこもって風通しが悪く、かつ断熱性能が低い場所では結露が発生しやすくなります。
たとえば、鉄筋コンクリート造の建物では、外壁や床が冷えやすく、そこに湿った空気が触れると温度差で水滴が生じます。
さらに、木製家具やフローリングなどは湿気を吸収しやすく、結露によってカビや腐食が進行する原因にもなります。
このような場所では特に、冷房の温度設定や除湿、断熱処理などが重要となります。
外気の湿気が多い場所(梅雨や真夏など)
気象条件が深く関係しています。
梅雨時や真夏は、気温が高く、空気中に含まれる水分量(湿度)も非常に多くなります。
湿度が高い空気は、温度が下がると飽和状態に達し、水蒸気が水に変わる=結露が発生します。
特に住宅では、換気や気密性の問題により、外の湿った空気が室内や構造内部に入り込み、冷房などで冷えた部材と接触することで結露が起こるのです。
たとえば、外気が通気層や壁内に侵入すると、冷えた断熱材や壁面に水滴が付き、見えない場所で結露が発生します。
さらに、風通しの悪い押入れや家具の裏側なども湿気がたまりやすく、カビや劣化の原因になります。
つまり、外気の高湿度がある限り、冷房によって冷えた場所と接触すれば、結露が発生しやすくなるのです。
屋根裏や壁内など、空気がこもる構造内部
「屋根裏や壁内など、空気がこもる構造内部」の存在が重要な要素になります。
これらの場所は通気性が悪く、外気や室内から入り込んだ湿気が滞留しやすい構造となっています。
特に断熱材が不十分だったり、気密性の高い住宅では、冷房で冷えた天井や壁の内側に外気の湿った空気が入り込むと、温度差によって水蒸気が結露となって現れます。
屋根裏や壁内は普段見えないため、結露が長期間放置されやすく、木材の腐朽や断熱材の劣化、カビの発生など、深刻な被害につながることがあります。
また、これらの空間では一度湿気が入り込むと、気温が下がっても逃げにくく、結露が繰り返されるため、建物の耐久性を大きく損ねるリスクがあります。
適切な換気設計や気密・断熱施工、調湿建材の導入などが、夏結露の防止には欠かせません。
夏結露を放置すると起こること
夏結露を放っておくと、住宅や住環境にさまざまな悪影響を及ぼします。
まず最も一般的なのがカビの発生です。結露によって壁内や床下、家具の裏などに水分が溜まると、湿気を好むカビが繁殖しやすくなります。
カビは見た目だけでなく、空気中に胞子を放出するため、アレルギーや喘息、シックハウス症候群などの健康被害にもつながります。
さらに、結露が繰り返されることで、木材が常に湿った状態となり、腐朽菌の繁殖によって建材が劣化します。これにより柱や梁が弱くなり、耐震性や耐久性が著しく低下する恐れもあります。
また、湿気を好むシロアリが発生しやすくなり、目に見えない場所で住宅の構造そのものが破壊されてしまうこともあります。
断熱材に水分が染み込んでしまうと、断熱性能が著しく低下し、冷暖房効率が悪くなって光熱費が増えるという経済的損失も発生します。
加えて、湿気が室内に影響を及ぼすと、クロスの浮きや変色、床材の反り、家具の劣化など、見た目にも悪影響が出ます。
このように夏結露は見えない場所で静かに進行し、気づいたときには大きな修繕が必要となることもあります。早期の対策と日常的な湿度管理が重要です。
夏結露の対策
夏結露を防ぐには、「湿気を室内や構造内部にため込まない」「結露が発生しにくい環境を整える」ことがポイントです。以下に効果的な対策をいくつかご紹介します。
室内の湿度をコントロールする
室内の湿度をコントロールすることは、夏結露を防ぐうえで非常に重要です。夏は外気が高温多湿になるため、窓の開閉や人の出入りなどで湿気が室内に入りやすくなります。そこに冷房によって冷やされた床や壁があると、空気中の水分が結露してしまいます。そのため、湿度を一定に保つ工夫が必要です。具体的には、エアコンの除湿モードを活用するほか、除湿機の併用も効果的です。湿度計を設置し、50~60%を目安に調整すると快適で結露が起きにくくなります。また、洗濯物の室内干しや加湿器の使用を控える、調理中は換気扇を回すといった日常的な工夫も湿度の上昇を防ぎます。適切な湿度管理は結露防止だけでなく、カビやダニの抑制、健康的な室内環境の維持にもつながります。
適切な換気を行う
適切な換気を行うことは、夏結露を防ぐために欠かせません。
湿った空気が室内にこもると、冷房で冷えた壁や床に触れて結露が発生しやすくなります。
そこで、定期的に窓を開けたり、換気扇や24時間換気システムを活用して空気を循環させることが大切です。
特に押入れや家具の裏など、空気が滞留しやすい場所は意識的に風を通す工夫をしましょう。
湿気の排出を促すことで、結露やカビの発生を抑えることができます。
断熱と気密の見直し
断熱と気密の見直しは、夏結露を根本的に防ぐための重要な対策です。
結露は、温度差のある場所で湿気が冷やされることで発生するので特に断熱が不十分な壁や天井、床下などでは、室内の冷気が建材を通じて外部と接し、そこに湿気が触れると結露が起こります。そのため、断熱材を適切に設置して冷気と外気の温度差を和らげることが必要です。
さらに、気密性が低いと外気の湿気が壁内などに入り込みやすくなります。
これが構造内部で冷えた場所に触れ、見えないところで結露が発生します。
壁内の湿気が原因で断熱材が濡れてしまうと、断熱性能が落ち、カビや腐朽のリスクも高まります。
断熱と気密のバランスを保ちつつ、防湿シートや気密テープの活用、通気層の設計などを行うことで、夏結露のリスクを大きく減らすことができます。
新築やリフォームの際には、専門家による断熱・気密設計の見直しを検討しましょう。
調湿建材の利用
調湿建材の利用は、室内の湿度変化を自然にコントロールし、夏結露を防ぐための効果的な方法です。
調湿建材とは、湿気が多いときには水分を吸収し、乾燥しているときには放出する性質をもつ建材のことです。
代表的なものには、珪藻土、漆喰、エコカラット、調湿石膏ボードなどがあります。
これらの建材を壁や天井に使用することで、エアコンや除湿機に頼らなくても、室内の湿度を40〜70%の快適な範囲内に保ちやすくなります。
とくに、押入れや脱衣所、玄関、寝室など、湿気がこもりやすい場所に用いると結露やカビの発生を抑える効果が期待できます。
また、調湿建材は消臭効果や有害物質の吸着機能を持つものもあり、結露対策だけでなく空気環境の改善にもつながります。
施工も比較的容易なものが多く、リフォームにも適しています。
まとめ
夏の暑さと高湿度が続く季節は、住宅の「夏結露」が発生しやすくなります。
特に冷房によって冷やされた室内の壁や床、家具の裏側に湿った空気が触れることで結露が生じ、見えない場所でのカビや木材の腐食を招きます。
この夏結露は、建物の耐久性を損なうだけでなく、住まいの快適性や健康にも悪影響を及ぼします。
結露も甘く見ていると建物の内部からじわじわと腐食して、大規模工事に繋がりかねません。
建物の気密性を上げる為に、メンテナンスの一環として塗装工事もオススメしております。
夏結露でお悩みの方も、リペインターズにお任せください!