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陸屋根防水における通気緩衝工法とは?仕組み・メリット・デメリットを現場目線で解説

2026/04/16

監修者

高橋彰

高橋 彰

二級建築士。株式会社ウェルビーホーム代表。
建築業界歴30年。「安心・丁寧・親切・安価」をモットーに、「どうやったらお客様が喜んでくれるか」を常に考えています。お客様のご要望に応じて塗装の他にリフォームなど改装工事も行っています。

こんにちは。山科区で外壁塗装・防水工事を行っているリペインターズ代表高橋です。

毎年、暖かい時期になると防水工事のご相談が増えてまいります。
ベランダや陸屋根などの、人が立ち入る事が出来る箇所の防水にはいくつか種類がありますが、我々のような塗装屋で施工する防水は主に、ウレタン防水とFRP防水になります。
その防水方法に用いられるのが「通気緩衝工法」「密着工法」の2種類.。

特に陸屋根(平らな屋根)やベランダの改修工事では、この工法を採用するかどうかが、施工後のトラブルの有無や耐久性に大きく関わってきます。

結論から言うと、通気緩衝工法は“改修工事において非常に信頼性の高い防水工法”です。ただし、すべての現場に適しているわけではなく、建物の状態によって適切に選定する必要があります。

本記事では、通気緩衝工法の仕組みから施工方法、メリット・デメリット、そしてどのようなケースに適しているのかまで、現場目線で詳しく解説します。

通気緩衝工法とは何か

通気緩衝工法とは、防水シートの下に通気層(空気の通り道)を設けることで、下地から発生する水分や湿気の影響を受けにくくする防水工法です。
対して、「密着工法」は文字通り素地に直接防水塗料を塗布したり、防水シートを接着剤で貼り付け密着させる工法です。
しかしこの方法では、下地に水分が残っていた場合、その水分が行き場を失い、防水シートや塗膜を押し上げてしまうことがあります。

一方、通気緩衝工法では、通気緩衝シートを敷設することで防水層と下地の間に空間をつくり、さらに脱気筒によって内部に溜まった湿気を外部に逃がすことができます。
この「通気」と「脱気」の仕組みが、長期的な耐久性につながるのです。

防水工事で膨れが起こる理由

防水工事の不具合で最も多いのが「膨れ」です。
これは、下地に含まれる水分が太陽熱などによって蒸発し、内圧となって防水層を押し上げる現象です。
特に以下のような条件が重なると発生しやすくなります。

・コンクリート内部に水分が残っている
・雨漏り後で乾燥が不十分
・既存防水の上に重ね施工している
・夏場など温度変化が激しい環境
・日当たりが強い屋上や陸屋根

密着工法では、この圧力の逃げ場がありません。
その結果、防水シートや塗膜が膨れたり、最悪の場合は破裂して再び雨漏りにつながります。
通気緩衝工法は、この「内部圧力の逃げ道」を意図的に作ることで、こうした不具合を未然に防ぐのです。

通気緩衝工法の施工手順

実際の現場では、以下のような工程で施工を行います。
京都市山科区で行った施工を例にご紹介いたします。

① 下地処理

ひび割れ補修、段差調整、洗浄を行います。
防水工事の品質は、この下地処理で大きく左右されます。

② プライマー塗布

下地と材料の密着性を高めるための下塗り材を施工します。

③ 通気シートの設置

通気シートを全面に貼ります。このシートの下が空気の通り道になります。

シートが重なる部分はジョイントテープを貼り、シート同士を接着させてます。

④ 脱気筒の設置

湿気を外部に排出するための装置です。面積や現場の状態に応じて配置を考えます。

⑤ 防水層の形成

ウレタン防水塗料を塗布します。膜厚の確保が重要です。

⑥ トップコート仕上げ

紫外線や摩耗から防水層を保護します。

メリット

① 膨れ・剥がれを防げる

内部の湿気を逃がす構造のため、防水層の膨れを大幅に抑制できます。

② 改修工事に強い

既存の塗膜の上から施工できるケースが多く、撤去費用や工期を抑えられます。

③ 下地の影響を受けにくい

含水状態のばらつきがある現場でも安定した性能を発揮します。

④ 長期的な耐久性

施工後のトラブルが少なく、長い目で見ると結果的にコストパフォーマンスに優れていると言えます。

デメリット

① コストが高い

材料費と施工手間が増えるため、密着工法より費用は上がります。

② 施工品質に左右される

シートの施工不良や脱気筒の配置ミスがあると性能が発揮されません。

③ 脱気筒の存在

屋上に突起物ができるため、見た目を気にされる方もいます。

④ 不要な場合もある

すべての現場に必要ではなく、過剰仕様になるケースもあります。

通気緩衝工法が適しているケース

現場経験から、以下のような条件では通気緩衝工法を推奨します。

・既存防水塗膜の上から改修する場合
・雨漏り歴がある建物の陸屋根、ベランダ
・築年数が経過している建物
・コンクリート下地の陸屋根
・日射や温度変化の影響を受けやすい環境

これらの現場では、下地内部に水分が残っている可能性が高く、密着工法では不具合が起こるリスクが高まります。

不要または慎重に検討すべきケース

一方で、以下のような場合は必ずしも通気緩衝工法が最適とは限りません。

・新築で乾燥状態が良好な下地
・古い防水塗膜を完全撤去し、十分に乾燥させられる場合
・小規模で状態が明確な施工箇所

このような場合は、密着工法の方がコスト面・仕上がり面で合理的なケースもあります。

現場のプロとしての結論

通気緩衝工法は、「見えないリスクを先回りして潰す工法」と言えます。
防水工事は施工直後ではなく、数年後に差が出る工事です。
膨れ・剥がれ・雨漏りといったトラブルは、施工時の判断ミスが原因であることが少なくありません。

特に改修工事では、「下地の状態が完全には把握できない」という前提があります。
その不確定要素をカバーできるのが、通気緩衝工法の最大の価値です。

最後に

私たちリペインターズでは、「再発リスクの低さ」を基準に工法を選定しています。
通気緩衝工法は決して万能ではありませんが、条件が揃えば非常に有効な選択肢です。
逆に、不要な現場で採用すると無駄なコストにもなります。

重要なのは、その建物にとって最適な工法を見極めることです。
防水工事をご検討中の方は、表面的な価格だけで判断するのではなく、下地の状態や将来的なリスクまで含めて検討されることをおすすめします。
現地調査のうえで、最適なご提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

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